- 「なんか急に寒いねぇ」
「んー」
日の当たる屋上で二人きりで過ごすお昼休みは、時間がのんびり進んでる心地がしてとても好き。
「凪くんのパーカーあったかそう」
「あったかいよー」
昨日と同じノリでブラウスとベストだけで登校してしまってちょっと失敗。凪くんが着てるパーカーだってそんなに厚手じゃないだろうにとても温かそうに見える。
そっとスマホゲームする凪くんの腕に寄り添った。無反応なのを見るとこのままいてもいいみたい。昨日までの暖かさ…というより暑さが一気に風に飛ばされたように風が涼しい。
もっとくっついてもいいかなと思い、凪くんの腕にぴとっとくっついて脇腹辺りに引っ付いた。凪くんの肩が頬に当たる。あったかいし、凪くんの匂いって落ち着くんだよね。柔軟剤なのかな。すごく、好き。
全く動かない凪くん。彼女がくっ付いてるのに私だけがドキドキして、ゲームに夢中になってるなんてちょっとだけ妬きそう。
「……ッ」
恨めしく思いながら、ゲームする横顔を見上げればこっちを見てる凪くんと目があった。
「そんなに寒いの?」
「寒くは、ないけど」
じーっと見つめてくるから、引き寄せられるみたいにこっちも目を逸せなくなっちゃって息を吐くのを躊躇うくらい、凪くんの瞳が近くなる。
「凪くん、好きだよ」
風が吹いて、凪くんの前髪が私のおでこを撫でた。不意にあふれた言葉に凪くんは目を丸くさせ眼前で止まる。
「うあー! 恥ずかしい! 好き!」
やけになって凪くんのパーカーに顔を埋めて叫んだ。私の愛の叫びはパーカーに吸収される。寒かったのに、急に熱くなってきた。
凪くんに頭を抱えるように抱きしめられると大好きな匂いと温もりに包まれて幸せな気持ちになる。凪くんの気持ちに応えるようにそっと背中に腕を回した。
「なんでそんなかわいいの」
ぼそっと頭上にこぼされる言葉はちょっと掠れてて、照れてるんだなってわかるから。それだけで大好きって気持ちで胸がいっぱいになった。
あーあ、この昼休みが終わらなければいいのに。
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