- 「あなたのそういうとこ好きです」
困ったように笑った顔を見て誤解を招くような言い方だったと気付いた。けれど嘘偽りない本心に訂正はせず、好きですという言葉だけ重ねて伝えた。変わらない笑顔に胃の辺りが苦しくなった。
「私もジェイドくんのこと、好き」
何故泣きそうな顔で言うのか分からずナマエさんが好きだと口付けと一緒に何度も伝えた。彼女の涙は甘く感じた。
「アイツら帰っちまったんだゾ」
彼女と心を通わせた次の日のことだった。とんでもない裏切りに彼女の部屋にあった大きな鏡を殴った。割れた鏡を踏みつけにし扉も閉めずに後にする。
まだ芽生えたばかりの感情でよかったと壁を何度も殴りつけ、皮膚が裂ける痛みと混ぜ合わせて排水溝に流した。どうせ他人だ。番になった訳でもないただの他人だ。それは今までもこれからも変わらない。
寮の玄関扉を静かに閉め遠くを睨むように自分の寮へ帰った。
/ 140文字SSのお題より