Howling


さよならだけが共に居た証だった
あなたがいなくなっても消えない確かな何かがわたしの中にひとつでも残るのでしょうか

こんな夜でいいなら何度でも
大人になれないあたし
満ち足りた無垢を抱えてる

あなたの放つ光があまりに眩く美しいので
綺麗な涙ほど信用できない
リセットしながらでも抱きあおう
春を思わせる終わりのことを
わたしを見つけてグランギニョール
花に隠して傷で殺めて
この悲しみが足に絡みつく棘になってしまう

愛を知らないことは罰ですか
愛を知ることは罪ですか

蒼穹を求め、ただ底へ
永遠という救済
生まれたときから嘘だった

あおく しろく とけて はがれるように

悲しいと嘆きながらも歩き、死にたいと泣きながら執着する。それが人間であって、あなたであって、何ひとつ間違っちゃいない。

ふたり、夜の帳に溺れて
愛のにおいのするほうへ
こぼれ落ちた惑星に雨をそそいで
完璧な腐敗は透けている
薔薇喰いの獣
この心に傷を残すまえにどうかわたしを見つけて
神さまの帰す北極星
アクアテラリウムの水湖

流星を重ねる白夜
ナイフと水槽
望み尽くした指先

ゆるやかに星座の種を蒔くひと
加護によく似た五線譜
少しずつ少しずつ抱えきれないほどの愛になる
ひとりきりでも生きていけると悲しむきみ


今なお息づく四季の唄は神々の遠吠えなのだ


何色の感情ならば届いただろうか
ためらい傷は喪失より深く
かなしみを弔う花が咲く
瞼の打ち際で青を救えずに
心臓の在り方
刃渡り15センチの幸福
薄氷にて春を告げる
魔法を歌う少年少女

あなたから与えられるわずかな光でわたしは今日も歩いてゆける

密室に仕立てあげた楽園
やわらかな追腹の赤に縋って

なにひとつ置いていかなかったあなた

夏の病
暁が滴る夜まで
花々を待ちわびる唇
ダイヤモンドと同一の獣
真昼を泳ぐ体温
すべてを忘れるための名称

辿り着いた朝を逃さぬように
ふたりの背骨を繋げるように

涙なき雷鳴
しあわせのより深いところへ
そしてまた花冷えが春を結ぶ

やさしくないものが生きていけるこの世界で、やさしくありたいと願うことは卑しく偽善的で愚かしいことですか

罪を着飾る肉体
あなたの孵化を見届けたい
落日がなによりも美しいように

おいしい呪文をいただきます
ネバーランドはきみのもの
ひとりではない檻

甘さ控えめ愛情濃いめ
まやかしの卵
ぬくもりを束ねる白骨
野ばらを突き立てた心臓
さよなら初恋、また来て自覚!

八月の始まりは鍵穴を焦がすように、八月の終わり生涯消えぬ傷痕に焦がれるように。
九月に去し夜雲雀よ、誰そ彼よと光を乞えど、其処にありし息は今も色無。



2017