たぶん、気付いたらハマっとったって感じが一番近い。他の男と喋っとったら割って入りたなるし、全部俺だけのモンやったらええのにってムカムカしたりもする。だってしゃあないやん。おはようって挨拶しただけやで? せやのにこいつ、めっちゃ嬉しそうにすんねん。近く座って喋ったら「宮くんおもろいね」って、楽しそうに笑いよんねん。そら好きにもなるわ。ほんで泣きぼくろがエロい。
「なあ、その宮くんってやめへん?」
「え……」
「サムとややこいし。侑って呼んでや」
「あつむ、くん」
「くんも要らん」
「……侑?」
「、…おん」
やばい。ちょっとキュンとした。
悟られんように俯いて深呼吸。ちゃうねん。俺は名前呼んで欲しいが為だけに、こんなん言い出したんとちゃうねん。
平常心を保ちつつ顔を上げる。真っ白な頬がちょっとだけ赤ぅなっとって、なんや俺の名前呼べんの嬉しいんかいなって都合のええように解釈する。可愛ええなあほんま。俺も名前で呼びたい言うたらどうなるんやろ。もっと赤なるんか、フリーズするんか、テンパるんか。
「なあ、俺も呼んでええ?」
「何を?」
「名前。なまえって」
「、」
答えは一瞬二番からの一番やった。一瞬固まって、ぶわって真っ赤になった後「……ええよ」って顔を逸らす。こっち向いてやって柔らかい頬っぺつついたら「今あかん」って阻止された。初めて握った手は簡単に折れてまいそうで、大事にしたらなあかんなあって思った。
※夢BOXより【宮侑くんと大人しめの子の両片思いのお話】
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