って心ん中でぶつくさ文句垂れながら、両手をポケットに突っ込んで震えとったら、でっかいブレザーに包まれた。背中から伝わる人肌の温度が、ええ感じにあったかい。この柔軟剤の香りは知っとる。絶賛クラスメート以上になりつつある角名や。
予想通り、見上げた先にはいつものスッとした目。
「寒さマシになってきた?」
「おん。めっちゃ温い」
「良かった。震えてるからびっくりした」
「寒かってんもん……」
「みょうじ肉なさそうだもんね」
「それはセクハラ」
「ぇえ?」
困った顔をしながらも、くすくす笑う角名に凭れかかる。よろけることなく踏ん張ることもなく。全く微動だにせんあたり、しっかり男の子でキュンキュンする。しかも結構な高身長やから、私なんかすっぽりや。ぽっかぽかで快適。
「はぁ……ずっとこうしときたい」
「俺もこのままで居たい」
冗談なんか本気なんか。まるで離したないって言わんばかりにきゅうっと抱き締められて、心臓が締まった。
※夢BOXより【角名くん】
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