特別課外授業




「わあボロボロ」
「てっっっめえのせいだわクソが!!」
「先生にクソとか言わないのー」


眦を吊り上げて怒鳴る爆豪くんにケラケラ笑う。「程々にしといてくださいよ」って相澤先生の声に片手を振って応え、両手のひらに火花を携えては低く構えた彼へと向き直った。相変わらず素敵な個性で羨ましい限りだ。口はアレだけど申し分ない。

日に日にレベルアップしていくその成長を、身をもって実感できる瞬間っていうのは結構好きだった。相澤先生にはいつも微妙な顔をされるけれど、まあ省エネタイプには分からないよね。ゴリゴリ戦闘派の私とは、そもそも感性が違うのだろう。


鼓膜を劈く、大きな爆破音。巻き上がった煙と共に飛んできた右フックを避け、後ろへ下がる。途端、ぐらりと体が傾いたのは、足場を崩されたから。真っ向勝負で勝てない相手に対するとても正しい判断だけど、まあ予想の域を出ない。もちろん、繰り出される拳や蹴り、個性の精度はとても良くて速いし、狙う箇所も殺意が高くて素晴らしいと思う。でも、まだまだ底上げ出来る動きだ。

うーん。どう立ち回ったら、もっと効率良く育ててあげられるかなあ。なんて考えながら避けていたら、うっかり反応が遅れてしまった。


「い、てて…」


瓦礫に押し付けられた背中が軋む。あーあ、青痰出来たなあって鈍痛。掴まれている首は熱く、このまま爆破されようものなら確実に死ぬだろう。

やっぱり殺意が高い爆豪くんは、ぜえぜえ肩で息をしながら「っ俺の、勝ちだ…!」と、嬉しそうに口角を上げた。年相応の笑顔がなんとも可愛い。一勝あげちゃったのはちょっと悔しいけど、まあ良いかなって気になれた。



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