きみと過ごす朝




「しょーとー」
「おはよう」
「んーおはよ。超寒い」


とてとてと寄ってきたなまえに視線を向ければ、ブランケットをマントのようにしてかぶり、鼻をすすっている不服そうな顔がこちらを見下ろした。俺は個性のおかげか、調節は出来るものの、普通の子供体温には厳しいらしい。

ソファから身体を起こして暖房の温度を上げてから、ぐじぐじと気持ち悪そうな鼻にティッシュを押し付けてやる。素直にかんだなまえの鼻は、少し赤くなっていた。色が白いせいか、寝起き特有の赤い目元と一緒に良く目立つ。


「座ってろ。ココアで良いか?」
「んー…」


大人しくソファに座った小さな頭を撫でてからキッチンに向かう。なまえ専用のマグカップにココアをいれて、ついでに昨日買ったマシュマロをのせた。目敏くそれに気付いたらしい。ブランケットにくるまって小さくなっているなまえの頬が、ふわりと緩む。

まだ完全に覚醒していない感じが可愛い。
隣に座ると、甘えるように擦り寄ってくる姿が猫みたいだ。


「しょーとー」
「ん?」
「しょーとさーん」
「何だ」
「しょっおっとっ」
「?」
「しょーと」
「…なまえ」


どうやら名前を呼んで欲しかったらしい。
何度も舌っ足らずに俺の名前を繰り返していたなまえは、満足そうに笑ってココアを飲み始めた。可愛い。





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