星5つ



夜久さんの、ボールを繋ぐ瞬間が好きだ。
どんなに強く放たれたボールでも、しっかり鍛えているだろうその腕が、柔らかい軌道へと変えてしまう。体育の授業で習う程度のバレーしか行ったことのない私にとって、それはとても印象に残る光景で、何度見ても胸の内側がざわざわと高揚する。


「お疲れ様です」
「おーお疲れみょうじ。今日も見に来たの」
「はい」


微笑めば「ありがとね」と満面の笑みを見せてくれて、ざわざわしていた内側がきゅっと締まる。
最初は皆がわらわらと集まってきていたけれど、最近じゃ気を使ってくれているのか、こうして二人で話せることが多い。


ドリンクを飲む彼へかける言葉を探していると、口角を上げたニヤニヤ顔の黒尾先輩が寄ってきて、彼の肩を叩いた。


「たまには送ってってやれよ」


思いもよらない言葉に固まる私をよそに、夜久さんはそれもそうだなと頷く。


「着替えてくるから、ちょっとだけ待っててな」
「あ、はいっ」


そういえば、今日の星座占いは一位だったなあ、なんて。現実味の湧かない、ふわふわとした頭で思った。