あんまんシェア



カーディガンもブレザーもすっかり手放せなくなった十一月。立ち寄ったコンビニで、つい心が惹かれてしまったほかほかのあんまんは、同じくほかほかの肉まんを手にしている彼の視線をも釘付けにした。


「半分食べる?」
「えっ、いや、半分はさすがにわりぃ」
「全然良いよ? むしろ晩ご飯入らなくなりそうだから、食べてくれると嬉しいんだけど」
「マジか。何で買ったんだお前」
「だって美味しそうだったんだもん」


実際、ちょっと食べたかっただけだ。岩泉くんと二人で帰れるなんて物凄くレアだから、ちょっと特別な思い出が欲しかっただけ。

ぷくうって頬を膨らませてみせる。途端に吹き出した岩泉くんは「なら貰うわ」と、不要な遠慮を引っ込めてくれた。早速あんまんを割ろうと足を止める。なんとこれがなかなか難しい。残念ながら、均等には出来なかったので、胃のサイズに合わせて大きい方を差し出す。ぱちくりと瞳を丸めた岩泉くんは、とっても嬉しそうにニッカリ笑った。

少年みたいに真っ直ぐな、この笑顔が好きだった。



【夢BOX/岩ちゃんとあんまん肉まんをシェア・大きく割れた方を差し出して嬉しそうに笑って欲しい】