この瞳に映るのは



俺の彼女は、贔屓目無しに見ても、そこらの女より可愛ええ。

きっちり化粧しとってそこそこ派手めな女子とも仲良うやっとる割に、下品な笑い方はしよらんし箸の使い方も綺麗やし、そもそも考え方やったり対応やったりが落ち着いとる。「治に相応しい女か見たるわ」とか何とかアホ抜かしよった侑のチェックやら誘いやらを見事にクリアして、あるいはスルーして、結局俺の隣におさまったええ子や。

中学ん時なんか、俺と侑の区別すらつかんような奴らばっかりやったけど、こいつは俺が侑の服着とるだけでもなんとなく気付きよる。今日は借りてんやねって、綺麗に笑う。それが元々なんか俺に対してだけなんかは分からんけど、なんや嬉しいなあって、思う。


「なんや嬉しそうやね」
「何で分かったん?」
「なんとなく」


ほんま、何で分かるんやろなあ自分。

緩く引き上げられた唇は薄らとしたピンク色で、くるんって綺麗にカールしとる睫毛に縁取られた目が、品良く細められる。言わんでも分かるってやつは、てっきり双子ならではやとばっかり思っとったけど、不思議やなあ。観察眼に優れとるんか、それともやっぱり、俺やから分かるんか。


スマホ片手にストロー咥えて、パックジュースを飲んどる姿を眺める。気付いたなまえは小さくはにかんで「穴あいてまうやろー」と、俺の頬を摘んだ。