優越にゆるむ



「持とか?」

そんな声に顔を上げれば、北さんがいた。大きな瞳に見つめられ、相変わらず綺麗な人やなあって見蕩れる。おまけに優しくて端々に気が配れる上、頼りになる。


「大丈夫です。有難うございます」
「ええから貸し。重いやろ」


途端、腕の中が軽くなった。不思議。北さんが持つと重そうに見えない。綺麗な人だからつい忘れてしまいそうになるけれど、この人もちゃんと男の人。そんな当たり前を実感する度、男女の差を知る度、ああ好きやなあって思う。

すみませんと頭を下げれば「気にせんで」と、ほんの少し上げられた口角。いつも厳しい目元がやわらいで「こんなん宮にでも持たしたらええねん」って、優しい顔。北さんの笑い方は、いつも控え目で品がいい。


「次からは声かけや。一人で頑張ったらあかんで」
「はい。有難うございます」


満足そうに頷いた彼の背中について行く。

こんな所を北さん大好き宮ツインズに見られたら、また『みょうじだけズルい』なんて言われるんやろなあ。