好きでたまらない



俺の彼女は可愛い。可愛いって言うと、割とガチめな感じで『どこが?』って顔をするけど、とにかく可愛い。

俺の声を聞きたがったり、こないだの女子誰ってヤキモチ妬いたり、よく分かんねえけど赤葦に負けねえようにって色々頑張ったり、俺のことカッコイイって笑ったり。まあ、どうせ自分なんかって落ち込んでる時もあるし、女子日ってやつの時は素っ気なかったりするけど、そんなん全部ひっくるめて最強に可愛い。頭良いししっかりしてんのに、俺がいねえとダメっぽいとことか。挙げだしたらキリがない。


そんな俺の可愛い彼女の席は、隣のクラスの廊下側。窓際にある。前は真ん中らへんだったけど、席替えをしてから会いやすくなった。


「なまえー」
「はーいー。また来たの?」
「今日はまだ一回目だぞ」
「あと何回来る?」
「んー、次の次体育あっから無理だし……三回くらい?」
「すごい来るじゃん」


吹き出してはくすくす笑う姿に、身体の内側がふわふわする。やっぱり可愛い。休憩の度に会いに来ても全然飽きない。こんなん言うと俺ばっか好きみてえだけど、行かなかったら行かなかったでなまえから会いに来るし、たぶん俺の好きもなまえの好きも同じくらいだと思う。


「光太郎って今日お弁当?」
「?おう」
「そっかー……」


残念そうな悩んでるような横顔にきょとん。


「もしかして弁当ねーの?」
「そうなんだよねー。光太郎もお弁当なかったら一緒にって思ったんだけど」
「え、弁当あったらダメか?」
「ダメじゃないけど……食堂でお弁当食べてくれるの?」
「おう! 全然良いぜ」
「ありがと。嬉しい」


言葉通り嬉しそうにはにかんだなまえの、ボールより小さい頭を撫でる。昼んなったら一緒に食堂行って弁当食べて、めいっぱい充電してから来週の練習試合に誘おう。うん、そうしよう。




【夢BOX/彼女のことが好きでたまらない木兎】