原石上映中


すごいなあ、と、モニターを眺めながらぼんやり思う。

ヒーロー科は、向上心の塊みたいな生徒ばかりなんだろう。
市民を救いたいって気持ちだけでは到底乗り切れそうにないステージを嬉々としてこなしていく。
上位を独占しているのはいつもA組だ。
それだけ、今年の一年生は優秀なんだろう。あの相澤先生が誰一人として除籍にしていない事実が何よりの証拠だ、とスナック菓子の袋をあけた。

パリパリと小腹を満たしていれば、唐突に扉が開けられる。顔を向ければ、ずっとマイク先生の隣にいて疲れたのか、いつも以上に暗い空気を纏った包帯だらけの相澤先生がいた。


「A組凄いですね」
「まあ、磨けば光る連中だよ」


もぞもぞといつもの寝袋に収まった彼は「表彰前になったら起こしてくれ」と言ってすぐに寝てしまった。
隙あらばどこでも寝る割に目の下のクマが酷いあたり、睡眠の質が良くないのだろう。ちゃんとベッドで寝ればいいのに、と思いながらも口には出さないでおく。
以前、一度だけ言ったことがあるけれど「ちゃんと眠れてる」と全く気に留めてもらえなかった。
こういうタイプは一度痛い目を見ないと変わらない。相澤先生なんて睡眠不足で倒れてしまえばいいのだ。ああでも、私がサボれなくなるのはつらい。仕方ない。

ゆっくり寝かせてあげよう、と部屋の電気を消す。
モニターの音を小さくすると、暗がりの中で光る液晶は、なんだか映画みたいだった。