ゆらゆらゆらりら

私の数歩先で、ゆらゆらと揺れる薄紫と白のボーダー。ネコっぽい、と言われるだけあって、動いているものは掴んでみたくなるのが私の厄介な性で。あと、子どもの頃に、蟻の巣穴に人差し指を突っ込んで、指先を負傷した苦い経験もある。まあ要するに、好奇心旺盛な健康優良児だったというだけのことなのだけど。
ぐほっ、と言う豪快な声をあげたあとで、こっちを振り向いた破天荒さんはすごい顔をしていた。怖いと思うより、折角のイケメンが台無しですよ、と言ってあげたい衝動に駆られる。振り向いた勢いそのままに捲し立てる破天荒さん。

「オレになんか怨みでもあんのかテメェ!! 今、マジでころす気だったろ!!」
「いや……、だって、穴があったら手を入れてみたくなるし、紐が下がってたら引っ張りたくなるのと同じように、揺れてるもの見たら掴みたくなるものじゃないですか?」
「なに延々とフザケた言い訳並べてんだぶっ飛ばすぞ」

ったく、と言いながら、破天荒さんは私が引っ張ったマフラーを整える。どうして冬でもないのにマフラーを巻いているのかとか、もっと根本的に言うとそれはマフラーなのかとか、聞いてみたいことは色々とあるけど、うるさい、で一蹴されると思うので今のところ聞いていない。

「つーかなまえ、お前、確か1週間前にも同じことやったよな」
「あれ、そうでした?」
「ひところしかけといて憶えてねえとか、人間としてどうなんだよ」
「人間としてそうなんですよ」

穏やかな笑顔でそう言ったら殴られた。たんこぶになったかも、痛い。殴られた箇所を手で押さえて俯いていたら、そんなに欲しいんなら今度買ってやるよ、と言う声が降ってきた。顔を上げて見えた破天荒さんの顔は、私の頭をぶん殴ったことを申し訳ないと思っているのか、なんだかきまりが悪そうで。
そういうことじゃないんだけどなあ、と思いつつ私は、ありがとうございます、とだけ返事をする。



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