それが愛だとしても

あのさ、私はもう何回目になるかわからない溜息を吐き出した。そこには、多少の苛立と呆れも込められている。そんな溜息の裏の棘にも気付かずに、私の目の前の男は優雅に微笑んでいる。

「ブランド物のバックとか、何十本も薔薇の花とかもらっても、私、一般人だからさ」

薔薇の花束は、まあ五百歩くらい譲っていいとして、ブランド物のなにがいいのか私には全く以て理解できなかったし、金持ちの象徴みたいな気がしてなんとなく嫌いだった。そんなだから、もらったものはすべて使われないまま、押し入れの中で眠っている。売ってしまおうか、という邪な考えも一瞬だけ頭を巡ったけれど、さすがにそれは失礼だろうと思ってやめておいた。私はそこまで金にがめつくない。

「もうほんと、そういうのはいいんで。気持ちだけありがたく頂戴するから」

私がそう言うと、ハレクラニは片方の眉を吊り上げる。そんな表情をしても顔が崩れないのはさすがと言ったところか。

「ギガからピアスをもらったときは、随分とうれしそうにしていたが?」
「いや、あのくらいだったらうれしいんだよ。なんて言うか……、君のは私の身に余る」

余りすぎて困る。

「……そうか、ならば次は検討しよう」
「いや、検討とかそういうんじゃなくて、もうほんといいからね、いいから」

そう念を押したものの、あいつの辞書に”諦める”と言う謙虚な言葉はないから、きっとまたなにか押し付けてくるに違いない。と思っていたら案の定、今度は、モールのアクセサリー店に売っているようなピアスやらなにやらが、大量(段ボール箱に換算したら3つぶんくらい)に送りつけられてきた。
後日、そのことをギガに話したら、もういっそ現金が欲しいって言えばいいじゃん、と、冗談なのか本気なのかわからない口調で言われたから、とりあえずぶん殴って、私はもう何回目になるかわからない溜息を吐き出した。



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