どうしてこうなったのだろう。
私の手首にできた真っ直ぐな傷口、そこから溢れ落ちた鮮やかな色をした血が、死んだように大人しい地面に吸い込まれたのは、もう随分と昔のことになる。
ふとした拍子に、私のこの傷を見てしまったビュティは、一瞬無表情になったあと、嗚咽を殺して涙を流した。
なにが理由だったかは、もう遠すぎて思い出せないけれど、とにかく、そうすることでしか逃げられないと考えたから、私は呼吸を止めようと思った。それは全く正しい判断で、疑う余地など一欠片もないように思えたのだ。
そういう思考の結果として、この傷はここにある。今となってはもう、ただの傷跡でしかない。
それなのに、私の目の前の少女は、きれいな涙を溢しながら何度も首を振る。細い顎の先から落ちた涙が、いつかの血と同じように、静かに地面に浸透していった。
「お願いだから、なまえさん……」
どうしてこうなったのだろう。
ビュティは私の右手を両方の手で握りしめながら涙を流していた。ああ、神様、私の今までの罪なんて赦されなくていいから。彼女の涙を見なくて済むくらいの嘘を吐くことを、どうか許して。