おやすみ、不器用なわたしたち

上司がきたら起こしてよね、私にそう念を押したなまえは、その数分後には穏やかな寝息をたて始めた。
上司の前で仮眠を取ろうとすると叩き起こされるからおちおち寝ていられない、と言うのが、彼女がわざわざ私の部屋へ仮眠をとりにくる理由だった。私の肩に頭を預けて眠るなまえは、子どものような寝顔をしている。眠っているときだけは、いつもの精悍な雰囲気が息をひそめる。
ベッドが空いているんだから、そっちで寝ればいいのに、といつも言うんだけど、レムに寄りかかる方がいい、と毎回首を振られる。

「私の迷惑は考えてくれないんだよね……」

本当は迷惑だなんてこれっぽっちも思ってなんかいないし、いや、むしろその正反対なんだけど。照れ隠しなのか、ついついこんな言葉が口をついてしまうだけ。
純正な布団の子でありながら、ひとを眠らせることができなくて、それが悔しくて悔しくて。そんなときに、私はなまえに出会って。別にいいんじゃないの、そう言って笑ったのがなまえだった。私は落ち着くよ、レムの隣が。そう言って涙を拭ってくれたのもなまえだった。
私が私のままでいられるのは彼女のお陰だし、だから、このくらいのことはせめてもの恩返し。
なまえの上司であるランバダ様が、少しばかり苛立った声で彼女の名前を呼んでいるのが扉越しにぼんやり聞こえた。でも、私に会いにきたわけじゃない、と自分に言い訳をして、肩に寄りかかるなまえの髪をそっとなでた。



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