※中学時代設定
午前7時30分。きっちりと制服を着て、髪もセットして、鞄まで肩にかけて、さあこれから登校ですよ。という格好をした俺はなまえのベッドの横でなまえの寝顔を見下ろしていた。
誤解されない為にこれだけは言っとくが、不法侵入じゃない、合法だ。さっきだって、下の階で朝食をつくるおばさんに挨拶してきたばかりだ。子供のころから家族ぐるみの付き合いがあったなまえと俺は、いわゆる幼馴染みというやつで、俺は今やあいつの目覚まし時計と化している。……意味わかんねえよな。俺にもわからん。
「おい、なまえ、起きろよ」
手を使うのが面倒くさかったので、壁のほうを向いているなまえの背中を軽く蹴ってやった。そしたら、唸りながら寝返りをうって身体ごとこっちを向く。
あと5分、と呂律の回らない口で呟くと、なまえは頭まで布団を引き上げる。
この程度だったらまだ普通だ。このあいだ起こしにきたときなんて、一体なんの夢を見ていたのか、電柱持っていかなきゃ、とかいう意味不明な言葉を口走っていた。いや、マジでどんな夢だったんだよ。
「5分じゃねー、5分じゃ。さっさと起きろっての」
そう言いながら布団を引きはがそうと布団に手をかける。
「要……、好き、」
思わず、布団を掴んでいた手が硬直する。なんだ? 今、こいつなんて言った? いや、寝言だとしても今このタイミングでそれはねえだろ。なまえが被った布団をはがすにはがせない状態のまま突っ立っていると、なまえがのっそりと起き上がった。慌てて布団を掴んでいた手を離す。やばい、顔が赤いかもしれない。
まだ布団が肩にかかったままのなまえの、無造作に乱れた髪の間の目が気怠そうに瞬いた。おはよう、要。さっき寝言で告白してきたのと同じ声が、また俺の名前を呼ぶ。