子供のころから、私よりもずっとずっと泣き虫で、ずっとずっと弱虫だった。それなのに、いつの間にか身長は私を追い抜いて、武術に於いても私より強くなって。私が引いていた手に、今は私が引かれている。悔しいのか悲しいのか、よくわからない感情からくる涙が、私の頬を伝っていた。
「この日になると、なまえはいつも泣くな」
私の手を引いて歩く白龍の背中が、ぽつりと呟いた。
私はずっとずっと泣き虫になった。ずっとずっと弱虫になった。こんな自分が大嫌いになった。兄様たちの代わりに私がしねばよかった。誰にともなく呟いたのに、白龍はそれをちゃんと聞き咎めて私を叱る。それはもう必死になって。
その必死さがうれしくて、狡い私は、もう何回もその言葉を口にしている。
「思い出したくもないけど、思い出すから」
白龍が足を止めたから、俯いていた私も足を止めて、顔をあげる。白龍が私を振り返った。涙で歪んだ視界の向こう側にいる白龍は、一体どんな顔をしているんだろう。
「なまえ、」
もう駄目だった。白龍の口から次の言葉を聞きたくないが為に、私は白龍の首にしがみつくように腕をまわして、その首筋に噛み付くように泣き始める。白瑛姉様の前だったら、私はこんなにみっともなく泣けない。姉様はきっと、やさしい言葉で慰めてくれるだろう。でも、それでは駄目だ。余計に悲しくなってしまう。だから、私がこんなに泣くことができるのは、白龍の前だけだった。ただ黙って、私の髪をなでてくれる彼の手のひらが、私の手のひらより大きくなってしまったのは、いつだろう。