憎たらしい笑顔で、私にくだらない暴言を吐いて任務へ行ったあのひとは、変わり果てた姿で帰ってきた。片方の腕がなくて、躰にいくつかの穴が開いている。傍目から見ても、それで生きていられるのが不思議なくらいの傷だった。名前を呼んで、駆け寄ろうとしたら、一緒に任務へ行っていたはずのボギーとバリーに止められた。あのひとがあんな怪我をしてるのに、なんでふたりは怪我が浅いの。と言ってしまいそうになるのをなんとか抑えて、私はあのひとの躰に細い管が繋がれていくのを、ただ黙って見ていた。
あれから何時間か経って、ただぼうっと椅子に座っているだけだった私のところへアルファロ様が来て、もう会っても大丈夫だ。と言う。私にお礼を言う暇も与えないで、彼はさっさと行ってしまったけれど。
椅子から立ち上がって、私はそっと、あのひとがいる部屋の扉を開ける。点滴が落ちる一定のリズム。機械の静かな起動音。それに混じって、微かな吐息が聞こえてくるものだから、私は安心して泣き出しそうになる。
「トミー様?」
小さく名前を呼んでみるけれど、それに返事はない。でも、緩やかに上下する胸が、彼がちゃんと生きていることを証明してくれる。
トミー様の、折れそうなくらいに細くなった手を握った。それは仄かに暖かくて、私はまた泣き出しそうになったけれど、もしも泣いてしまったら、トミー様に馬鹿にされるような気がして。結局、どうにか泣かないでいられた。
ああ、どうか早く、トミー様がまたあの憎たらしい笑顔で、私に笑いかけてくれますように。
そして、目が覚めたらいちばんに、お帰りなさい。って言ってやるんだ。