ナマエの耳元できらきらと輝くものがある。なんだろう、と思って顔を近づけると、それに気付いたナマエは僕の方を向いた。耳元の輝きは栗色をした髪の下に隠れてしまう。あの輝きの正体が知りたかったのに、ちょっと残念だな。そう思っているのが顔に出ていたみたいで、ナマエは「どうしたの?」とやさしく微笑みながら首を傾げる。僕はナマエの耳のあたりを指さした。
「きらきらしてたから、なんだろうって思ったんだ」
ナマエの目が少しだけ見開かれて、ふっと細くなる。彼女が髪を耳にかけると、またさっきの輝きがきらりと現れた。それから、僕によく見えるようにと、彼女は顔を横に向けてくれる。耳元の輝きと一緒になって、その横顔はいつもよりいっそう眩しかった。
「ピアス、っていうの。石の名前は忘れちゃったけど」
「へえ……、きれいだね。星みたいにきらきらしてて」
僕が思ったことを口にすると、ナマエは横目で僕を見た。「”星みたい”なんて素敵」そう言った口が微笑みの形をしている。
「あ、そうだ。名前忘れちゃったんだったら”星のかけら”ってことにしなよ! ”石”よりずっといいと思うな」
その提案にナマエは僕を見上げて、信じられない、というような顔でゆっくりと首を振った。
「バンブルビーったら、なんでそんな素敵なこと思いつくの?」
「そりゃあ、ほら。僕、ロマンチストだからさ」
そう言って目配せをすると、ナマエはうふふとたのしそうに笑う。その耳元では、永遠に輝きを失うことのない星が、彼女の笑顔を照らすようにきらきらと瞬いていた。