「うるさい。ついてくるな」
「それはできません。私は貴方の従者なのです。どこへでもお供いたします」
「へえ?なら湯浴みにもついてくるのか?」
「主人の裸体など見慣れて当然の事」
「消えてくれ」
「うら若き女性の湯浴みを狙う輩なぞ、万死に値します。そんな不届き者は切って差し上げましょう」
「本音は」
「年端もいかない少女の湯浴みを襲う輩は犯罪者に違いありません」
「おまえ私を子供だと思って馬鹿にしてるだろ」
「滅相もない」
「姫様」
「......」
「姫様?」
「............」
「姫様ー!」
「......ああもう!なんだ!」
「おはようございます、姫様」
「........................おはよう」
「姫様」
「...その姫って呼び方、やめてくれないか」
「それはできません。他の召使いはともかく、私にとって姫様は姫様です」
「ならせめて、二人のときは名前にしてくれないか。呼ばれて気分が悪い」
「......。わかりました、___様」
「呼び捨て」
「姫」
「......」
「お腹空いた」
「ディナーを召し上がったばかりなのでは」
「足りん」
「そうですか、我慢してください」
「何か作ってくれ」
「私の言葉が理解できないのですか?」
「お願い、My Knight?」
「ン゛ッ......何をお作りしましょう」
「(チョロいな)」
「――おい、今何を聞いていた」
「なんのことでしょう」
「とぼけるな。あの白衣の老体は何を言っていたんだ」
「姫様に申し上げることは何も」
「私に 嘘を つくな」
「......」
「......おそらく、__様の考える通りかと」
「......そうか、やはり、な」
***
最初からわかっていたんだ。
病魔に身を蝕まれるくらいなら、先に死を選んでやろうと思った。
それが、せめてもの抗いになるだろうと
なのにどうしてか、
いつの間にか生きたいと願うようになってしまった
おまえが現れてから。
......なぜ、
先の見えない私の前に、おまえがきてしまったんだろう。
私は、私は、
光を見てしまった
決して届かないはずの、遠い光
....
わたしはおまえが憎い
最初からこんなもの、知りたくなかった。
憎い、けれど
それ以上に どうしようもなく
__してしまった
これじゃあ、生き地獄だ
***
「おまえは私を殺してくれるか」
「いいえ__様。私は貴方をお護りします」
「おまえは私を、見捨てるか」
「いいえ__様。私はいつまでも貴方のお傍にいます」
「おまえは、おまえを憎む私を、__する私を、許してくれるか」
「先ゆく私を、許してくれるか」
「...いいえ、__様」
「私は貴方を許しません」
「貴方を、どこへも行かせません」
「...私の」
「私の言葉を聴かずに、いってしまわれるなんて」
「眠りにつくなんて」
「......ああ、そんな」
「起きてください、__様、目を覚まして」
「お願いです」
「俺を、置いていかないで」
「――ビア」
***
「――それで、返事はいつしてくれるんだ」
「また明日にでも」
「前もそれを聞いた」
「記憶にないですね」
「私は、真面目に聞いている」
「...」
「――では、」
「私達が従者と姫ではなく、別の形で出会った時」
「その時に、お答え致しましょう」
「......遠回しに死ねと」
「滅相もない」
ゲームの主軸になるお話。
“騎士”、“姫”といった設定から少し遠ざかりますが、これをベースにちょこちょこ書き換えて作ってます。