糖分過剰摂取に気をつけて

放課後の校舎。
空はきれいで、日射しがぽかぽかと暖かい。


「宮地くんまだかなー」


宮地くんは、すぐ終わるからと陽日先生のところへ出かけていった。別に付いて行ってもよかったんだけど、私も用事(錫也くんにオヤツを貰いに行く)があったし、教室で待ち合わせすることにした。

何をするわけでもなく、空を眺める。じわじわと襲ってきた眠気にあくびがでた。外はもう風が冷たくなってきたけれど、太陽は暖かかった。宮地くんが来るまでもう少しかかるだろう。少しだけ、そう思って机に突っ伏せば思ったより眠気が襲ってきた。


・・・・・・・・・


「みょうじ。遅くなってすまない…はぁ。こんなとこで無防備に寝て何かあったらどうするつもりだ」


意識の向こうの方で、宮地くんの声が聞こえる気がする。でも制服がいい感じに温まってきて、ふわふわした思考がまとまらない。


「おい、みょうじ。起きろ」
「んー…」
「はぁ。みょうじ、」


宮地くんがすぐそばの席に腰を下ろした気配がして、少し間をおいてから空気が震えた。


「なまえ」
「…」
「いつになったら、俺のことを名前で呼んでくれるようになるんだ?」


切なそうに、苦しそうに宮地くんが吐いた言葉に、一気に眠気が吹き飛んだ。
宮地くんが盛大に一人で赤くなってるのが気配でわかる。きっと私も耳まで真っ赤だ。顔を伏せて寝ていてよかった。


「…って何を言ってるんだ俺は」


そんなこと言っても、宮地くんも私のことを名字でよぶじゃない。言いたい言葉を飲み込んで、寝たふりを続ける。ずるいかもしれないけれど、もう少しだけ、宮地くんの本音を聞いてみたい。だって彼はかなりの奥手だから。

でも…と宮地くんが言葉を続ける。


「俺はみょうじが好きだ。心の準備が出来るまで、俺は宮地くん、でいい」


いとおしそうに。宮地くんの声が段々甘くなっていく。


「俺はみょうじの声で、みょうじに名前を呼ばれる。それが、ただ嬉しい」


自分の心臓がうるさいくらいに高鳴っていくのがわかる。


「俺はみょうじが、いやなまえが好きだ」
「っ!」


そう言って、宮地くんが私の髪を一房手にとったのが気配でわかった。…もう心臓が持たない。

「ーーっ!!」
「なっ!みょうじ!?」


もう我慢していられなくて勢いをつけて顔を上げると、真っ赤な宮地くんと目が合った。