07
「つまり、私が怪奇現象の原因だと思って斬りかかってきたと」
「…あぁ」
「私が対抗出来たから良かったものの、一般人だったらどうしてたんですかね?」
「…」
私に返す言葉が見当たらないのか、神田ユウは口を真一文字に結んだまま目を逸らした。斬りかかってきた時の何が怖かったって、顔が怖かった。あれは本気で殺られるかと思った。…よく無事だったな私。
明後日の方向に思考を飛ばしかけた私は、神田ユウが言葉をかけたことによって戻ってくる。
「というか、何時まで俺はこのままなんだ?」
「私が解除するまで、だよ」
「…チッ」
「はい。舌打ちしなーい」
イノセンスで発生させた風に捕らえられた神田ユウは、そのままの姿勢で私を睨みつけるけれど全く怖くない。
何故、まだフルネームで呼んでいるかと言うと、彼が警戒して教えてくれないから。私だって、ユウくんとか呼んで遊びたい。
「で、お名前は?」
「…チッ」
「やだ、舌打ちする?」
「っ、お前趣味悪いな」
中々答えてくれない彼に苛立ちを覚えて、ギリギリとイノセンスで風を強めれば、キツいのか顔を歪める。端から見れば、いたいけな美少年を虐める少女の図だ。なんて悪趣味。
痺れを切らして、彼に近寄ると蛇をも殺す勢いで睨まれる。
「…ちょっと失礼、」
「何しやがるてめぇ!」
「あ、あったあった。えーっとユウ、カンダ?」
「チッ」
神田ユウのコートの一番上のボタンを外して、銀のボタンの裏側を読み上げれば、また舌打ちされた。そろそろ泣くぞ。
「改めまして、私は木芽奏です。よろしくカンダくん」
「…暴れないから解除しろ」
「はーい」
カンダくんに言われた通りにイノセンスを解除する。無理な体制で長時間固まって身体が凝ったのか、カンダくんは肩を慣らし六幻をしまっていた。
「俺は神田だ。その妙な発音を止めろ。後、くんを付けるな虫酸が走る」
「はいはい。じゃあユウ、」
「ファーストネームで呼ぶんじゃねぇ」
神田くんだとコムイさんを思い出すんだろうか、と考えながらユウと呼べば、怒られた。うん、素晴らしく原作通りだ。
「お前、適合者なのか?」
「今まで何見てきたの君?」
「…チッ、」
呆れた目で神田を見ればこれまた舌打ちをされた。腹立つので、勝手に話を進めようかな。
「で。神田、怪奇現象て具体的に何があったの?」
「知らん」
えぇ使えない、と心の中で思ったことは彼には秘密だ。
この立ち位置に溜め息をひとつ
(1から説明してね)
(仕方ねぇ…実は、)
(あ。とりあえず私の家に向かおうか)
(チッ)