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「64…70…74…78…80!どうやらお前のシンクロ率は80%が最大値のようだ…」
「いやー、奏ちゃん凄いねー」


シンクロ率を測り終え、地面にゆっくりと下ろされる。コムイさんは終止にやにやと此方を見ていてすごく腹立った。


「とりあえずコムイさん、殴らせて下さい。え?いいんですか?ありがとうございます」
「僕許可は出してない、ぐほっ」


開放された私を未だにニヤニヤと見ていたコムイさんをグーで殴れば、情けない声を出しながら壁まで吹き飛んでいった。ざまーみろ。
そんなコムイさんに目をくれることなく、ヘブラスカは言葉を続けた。


「お前は……これからの道を照らす月になるだろう……私にはそう感じられた…」
「つ、月?光とかじゃなくて?」
「空を見上げれば…月は何時だってあるだろう…周りを照らすのには強い光でなくとも十分だ…」
「ふーん、ヘブくんありがとう」
「どういたしまして…」


コムイさんからヘブくんの正式な名前を聞いていないので、ヘブくんと呼べば彼女は少し嬉しそうに笑った。


「じゃあ、奏ちゃん部屋に戻ってイノセンス見せてくれるかな?」
「はーい、ヘブくんまた来るね」
「あぁ…待ってる…」


ヘブくんに別れを告げて、コムイさんの後を追う。
コムイさんは各フロアの説明をしながら室長室に向かってくれた。とりあえずは自分の部屋と食堂を覚えればなんとかなるだろう。


「奏ちゃん、団服はどんなデザインがいい?ちなみに僕のオススメはリナリーが着てるこれだよ!」


室長室に着くや否や、ばーん、と効果音が付きそうな仕草でコムイさんは両手を広げて見せる。
その先には、原作ヒロインであるリナリー・リーの姿。私の姿を見たリナリー・リーはキョトンとした表情で此方を見ていた。


「兄さん、新しい入団者?」
「はい、木芽奏です。よろしくお願いします、リナリーさん」
「っ!近い年の女の子がいなかったから嬉しい!これからよろしくね、奏。あと敬語はナシよ」
「うん、リナリーありがとう」


年の頃が近かったからか、リナリーは嬉しそうに微笑んだ。ほんとリナリー天使だ。すっごい可愛い。


「僕の事無視しないでくれるかな…?」
「あ、兄さんごめんなさい」
「いいよいいよ。奏ちゃん、団服どうする?」


コムイさんがオススメするリナリーの団服ははっきり言って着たくない。足の出る部分が広すぎる。


「リナリーの服よりスカートを長くして下さい。あと、イノセンス構えた時に左肩が凝るんで、ちょっと分厚くしてもらえると助かります」
「はーい、わかったよ。また出来たら教えるから、取りに来てね」


服についての要望を伝え終え、コムイさんにイノセンスを渡す。


「はい、わかりました」
「リナリー、奏ちゃんを部屋に案内してあげて」
「わかったわ、奏行きましょう」
「うん」


見終わったらイノセンスは届けにいくから、と言うコムイさんの声を背中に聞きながら、部屋の外で待ってくれているリナリーを追いかけた。




次々と変わる世界に目を回す
(あと2年で強くならなきゃ)