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「早速だけど、奏ちゃん任務だ」
コムイさんに任務と団服、それに通信用のゴーレムも渡されたのが、およそ5時間前。ティムキャンピーみたいなゴーレムが良かったけれど仕方ない。我慢しよう。
私が教団についてから一日も経たない内に言い渡されたのは、南フランスで発生が確認されたAKUMAの討伐だ。
「おい、木芽」
「何?」
「北側は俺が破壊するから、南側はお前がやれ」
「…神田、」
「あ?何だよその顔は」
「協力プレーて言葉知ってるんだね」
「ぶった斬るぞてめぇ!」
任務先である廃れた町の高い塔の上から見渡せば、およそ50体程のAKUMAがうじゃうじゃ見えた。
原作でアレンが言われた様な事を言われると思っていた私は、神田の言葉にびっくりしてしまう。そんな私の言葉に気を悪くした神田は、般若の形相で怒鳴りつけてきた。
「だって、神田が言うと思わなかったし」
「木芽は初対面で俺を止めたから、足手まといにはならねぇよ」
「!」
それは、神田が認めてくれたと考えて良いのだろうか。口角がゆるゆると上がっていくのが解る。
「締まりねぇツラすんじゃねぇ!」
「いや、だって、神田が嬉しい事言うから、」
「チッ、俺は行くぞ、六幻抜刀」
「っ!…イノセンス発動、」
ニヤける私を一喝した神田は、ちらり、と此方に視線を寄越して、AKUMAの群れの中に飛び込んでいく。
流し目が心臓を鷲掴みにして、一瞬動きが止まってしまった。危ない危ない。今は目の前のAKUMAに集中しなくては。
「聖女ノ歌、矢を形成せよ」
気を取り直して、聖女ノ歌を奏でる。レーレ・ヴァッヘから発した音が、段々と形を成していく。出来上がった無数の光の矢は、眼下に見えるAKUMAの脳天に向かって一直線に飛んでいった。
「っし!」
激しい爆発音と共にAKUMAが破壊され、モクモクと煙が上がる。
聖女ノ歌は同時に攻撃することが可能だが、矢の照準は私が操作しないといけないので、煙が晴れるまで何も出来ないのが不便なところだ。
「っ!」
油断した私が悪かったのだろう。風に流された髪が一房、はらりと地面に落ちる。慌ててその場所から飛び退けば、大きなヒビが塔にに入り崩れる。崩れる塔に掴まる事も出来ず、宙に投げ出された。「魔女ノ歌、風よ纏えっ!」
落ちながら魔女の歌を奏でると、風がゆっくりと落ちるスピードを軽減し、地面に難なく降り立つ。
眼前に見えるのは、さっきの攻撃を上手く避け、尚且つ私が立っていた塔を破壊したであろうレベル2のAKUMAが2体。
「エク、エクソシストっ」
「殺すっ殺す」
「…うるさいよ、もう」
耳障りなAKUMAの声を聞きながら、レーレ・ヴァッヘの本体をケースに入れ、棹を両手で持つ。
目の前のAKUMAの能力は分からないが、近距離戦ならば音を奏でるより、棹で切った方が早い。聖女ノ歌のを奏でた影響で、弦が鋭くなっている今なら、斬れる。
「死ねえっ!エクソシス、「…遅い」え?…ギャァァァァァ」
喚きながらこちらに向かってきた攻撃を避けて、棹を真横に薙ぎ払らえば、AKUMAが二つに分かれて叫び声を上げながら破壊される。そのまま、次のAKUMAに向かおうと手を伸ばしたその時。
「っ!何で、」
「ざーんねーんでした。死ねっ」
殺気がして振り向けば、もう一体のレベル2が此方に腕を振り下ろそうとしているのが見えた。来るべき衝撃に備えて、棹を突き出したまま咄嗟に目を瞑る。
しかし、いつまでも来ない衝撃に恐る恐る目を開けると、AKUMAに刀が突き刺さっているのが見えた。
「く、っそエクソシストめ」
「はっ、残念だったなAKUMAっ」
「ギャァァァァァ」
言葉と共に突き刺さった六幻を真上に振り上げる事で、AKUMAが破壊される。
AKUMAの向こうから現れた神田は、此方を見て安心したようなため息を一つ溢す。
「ほんと、強いのか弱いのかわかんねぇ奴だな」
「か、神田…!」
「何やってんだ、お前は」
腰が抜けてへたりこんだ私に、神田は手を差し出してくる。何か分からなくて神田を見上げれば、少し照れたような神田がいた。
「…っさと」
「え?」
「さっさと掴まれ!このタコっ!」
「ご、ごめん!」
神田の手に掴まれば、勢いよく引き上げられる。
あの手は、私を立たせようとしてくれたのか。気がつかなかった。
「…」
「何だよ」
「いや、神田ありがとう」
「…チッ、」
助けてくれた神田をよく見れば、至るところが傷だらけでとても見れる状態じゃない。それでも助けてくれたことが嬉しい。
礼を言えば、言われ馴れてないのか、神田は舌打ちをしてぷい、とそっぽを向いてしまった。
戦いに見出す存在意義
(もっと強くなりたいと思った)
title:花色奏鳴曲
レベル2のAKUMAは能力を披露する間もなくボカン(決して面倒だったわけではないですはい。)