13
任務から帰ってくれば、大聖堂でお葬式が行われていた。今回も、沢山の人が亡くなったのだと改めて思い知った。
「ただいまー」
「お。奏久しぶりだな。任務終わったのか?」
「うん…あ。これお願いします」
コムイさんに報告書を届けにいくがてら、科学班に一度寄ってイノセンスの点検をお願いする。
ちらり、と見えた室長室には部屋の主の姿はなく、またサボったのかと周りを見渡せば、リーバーさんは苦笑しながら答えてくれた。
「室長はサボりじゃないぞ」
「コムイさんなのに!?珍しいね」
「あぁ、何か入団者が来て説明してるからな。今は、ヘブラスカの所へ行っている筈だ」
リーバーさんの言葉に、そうなんだ、と短く答える。ん?ヘブラスカ、と言うことはもしかして、エクソシストが仲間になったのか。
室長室のソファーに座って、ぼーっと天井を見つめていると、コムイさんが帰ってきた様で声を掛けられた。
「あ、奏ちゃんおかえりー」
「ただいまコムイさん、リナリーは大丈夫?」
「うん、怪我も治ってきてるし大丈夫。奏ちゃんは3日間オフだから、ゆっくり休んでね」
「うん、ありがとう」
お礼を言ってコムイさんの後ろを見れば、目の周りを黒く塗った小さいおじいさんと、赤毛で眼帯をした男の子。言わずもがな、ブックマンとブックマンJr.のラビだ。
原作キャラが出てきた事で顔がニヤけそうになるが必死で抑えこむ。人間、第一印象が大事だ。
「室長、そちらのお嬢さんはどちら様だ?」
「あ、俺も俺も!気になるさー」
「あぁ、紹介します。こちらは木芽奏。最近入ったばかりですが優秀なエクソシストです」
ブックマンの疑問にコムイさんが答えてくれる。やっぱり、ラビは語尾に"さ"を付けるのか。なんて場違いな事を思った。
「私はブックマンだ。よろしく奏嬢」
「俺はラビさー!よろしくな、奏ちゃん!」
「この二人は今日からエクソシストとして入団する事になったんだ」
コムイさんの言葉に、よろしくお願いします、と二人に頭を下げる。
ラビに、ちゃん付けで呼ばれたが違和感しか感じなかったのは何故だろうか。
「奏ちゃん、年いくつ?」
「今は、…15だよ」
「えっ!?」
一瞬、実年齢を言いそうになって返答が遅れたが、年を言っただけなのにラビは動きを止める。
「1コ下!?嘘ォ!?」
「悪かったね童顔で」
「奏ちゃん、そんな殺気飛ばしすぎだよ」
コムイさんはラビの勘違いを爆笑しながら見ていた。後で覚えとけよ、巻き毛室長。
しかし、アジア人が幼く見えるのは、どこの世界でも共通らしい。気持ちは解るけれど、顔を離そうか。近いよ。
「じゃあ奏、って呼ぶさ?ダメ?」
「…ダメ、じゃない。よろしく、ラビ」
ダメと言いかければ、しゅんと垂れた兎の耳が見えた気がして慌てて言い直す。ラビの目の奥をよく見れば物凄い冷めてたけど、それでも、ありがとうさー、なんて言うラビが可愛いと思った。
また一つ、広がる世界
(奏、コムイの話終わったらご飯食べよう)
(うん!)
(君たち、仲良くなるの早いねー)