04
魔女さんの所に通うのはクルトが反対していたけれど、魔女さんからの連絡により渋々ながらも森に行くことを許された。…その時のクルトの顔が酷かったのは内緒だ。弟ができたみたいで、クルトはかわいい。
「こんにちはー」
「奏いらっしゃい」
魔女さんは何時も、ニコニコしながら出迎えてくれる。私は魔女さんの所で、イノセンスの発動よりも、攻撃の避け方や楽器の扱い方を習っていた。
自分の部屋で見たときにケースに書いてあった、Viola d'amore(ヴィオラ・デアモーレ)とは、楽器の種類の事の様で、私の対AKUMA武器を指していた。
対AKUMA武器は、ヴァイオリン、ではなくそのヴィオラ・デアモーレと言うもので、まぁヴァイオリンの親戚みたいな物だ。ヴァイオリンは弦が4本しかないが、ヴィオラ・デアモーレ弦が7本張ってある。また、指板の下には共鳴弦7本程張ってあるため、ヴァイオリンと比べて柔らかい音がする、らしい。
「違うわよ奏、その音はこう弾くの」
「こう、ですか?」
「そうそう。で、もっと響かせて」
そして、ここで私がもう一つすることはこの楽器の演奏方法を習うことだった。魔女さんの教え方が上手いのか、演奏面においても段々と上達しているのがわかる。そして、極度の運動音痴だったのだが、そちらの方も吃驚するぐらい良くなっていた。頭上にある木の枝に跳躍だけで登れたのは記憶に新しい。…異世界タイムスリップ、恐るべし。
「じゃあ、今日もイノセンス発動してみましょうか」
「はい。イノセンス発動、」
その言葉と共に、ヴィオラ・デアモーレが光を帯びる。見た目の変化はそれだけだが、発動前と比べ、音の大きさはそのままに音を遠くへ飛ばす事が出来、同時に光の筋の様な物が辺りに現れる。うーん、やっぱりイノセンスは不思議である。
「…このままの状態でも、音を鳴らせばAKUMAを破壊出来るみたいね」
「そうなんですか?」
「えぇ、森に迷い込んでいたAKUMAが悲鳴を上げながら爆発したのが見えたから」
「…なるほど」
魔女さんは、森の中とその近辺なら大体の事が分かるらしく、にこにこしながら近隣のAKUMAの状況を教えてくれた。そんな魔女さんのチートたっぷりな言動に、乾いた笑みしか浮かばない。
「まるで、空間の支配者ね」
「支配者…」
「あ、でも支配者だと響きが悪いから守人、の方が名前として良いかしら」
「…あぁ」
いつも魔女さんは唐突に話題を変えるため、話を理解するまでに少し時間がかかった。今は対AKUMA武器の名前を考えてくれているみたいだ。一体、何の話かと思った。
魔女さんが言うように、支配者はドイツ語で、Herrscher(ヘルシャー)と書き、空間は、Leere(レーレ)だから確かに語感が悪い。守人の、Wache(ヴァッヘ)ならまだましだろうか。
「レーレ・ヴァッヘ…うん、そっちの方がいいかも」
「でしょ」
魔女さんの言葉に同意すれば、得意げな顔で微笑まれた。対AKUMA武器レーレ・ヴァッヘ、うん。良いかも知れない。
「じゃあ、名前も決まったみたいだし、新しい技考えましょうか」
「技…?」
「だって音だけで破壊出来るんだもの。それに善は急げ、よ。」
時間は待ってくれないわ、なんて言いながら魔女さんは張り切る。でも、必殺技があるって何か格好いいかもしれない。…楽しみになってきた。
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(今は原作のどこなんだろう)