08
昨日の夢の事が頭から離れない。考えれば考えるほど分からなくてなるけれど、"私"は、何が不満だったのだろう。
姉と慕える人が居て、兄と慕える人も居て。それでも、"私"の全ては母しか居なかったのだろうか。
「考えるの止めよう、」
頭が煮詰まってきそうになるので思考を停止して、これから生活する部屋で荷解く作業を再開する。
私の部屋は職員寮の中にあり、女子寮がない事に改めて女子が少ないんだと実感した。
ちなみに隣の部屋は、琥太にぃの方が良いのでは言う琥春ねぇを押しきって、もう一人の女の子だ。
二人には悪いが、学園で親戚だと言いふらすつもりはない。やっかみはどこの世界にも居るもので、そのせいで二人の信頼が落ちてしまってはいけないから。…まぁ、髪の毛の色で気づく人がいるかもしれないけど。
「入るわよー」
「琥春ねぇ、ノックぐらいしてよ…」
「あら、ごめんね珠」
全く悪びれた素振りもなく、琥春ねぇは謝罪の言葉を口にする。琥春ねぇは部屋をぐるりと見渡して、一言呟いた。
「やっぱり、狭いんじゃないかしら」
「…」
どこが、と言いそうになるのを我慢して作業に集中する。琥春ねぇの言葉に反応すれば何かしら高級になったり、広くなったりすることをこの1ヶ月で学んだ。もう二度とあんなことにはしない。
暫く作業に集中すれば荷解きは終了し、整頓された部屋になった。我ながら片付け上手かもしれない。
「琥春ねぇ終わったよ」
「お疲れさま珠、はい」
「紅茶淹れてくれたの?ありがとう」
琥春ねぇから受け取ったカップには、淹れたての紅茶が並々と注いであり、ふわりとアッサムの良い香りがした。
「はい、これは制服ね。で、これは入学祝」
「…貰っていいの?」
「えぇ、前は受け取ってくれなかったから」
そう言って琥春ねぇが差し出したのは、長方形の箱。前は、と言うことは"私"は受け取らなかったのか。暫く考え込んでしまったが、開けてみて、と言われたの箱を開く。そこには、琥珀色の星抱いたネックレスが入っていた。
「きれい…」
「でしょう?それはね、お守り変わりなの。珠と私が姉妹の証よ」
「琥春ねぇ…」
「ふふっ良いでしょう?」
琥春ねぇに返えす言葉がない。私は、珠であって珠じゃないのに。それを琥春ねぇに告げずに、優しさに甘えているだけなのに。
「あらあら、泣き虫さんね」
「っく、っ」
目の前がボヤけてきて見えなくなり、気づけば私は泣いていた。琥春ねぇにゆっくりとあやされながら、何度もごめんなさい、と心の中で謝るしかなかった。
罪悪感が心を占める
(何時か、姉と呼ばせて欲しいと思った)