04
先にお茶を淹れてくれ、と言われたのでお茶の用意をする。出来たお茶を琥太郎さんが座っている机まで持っていけば、ありがとうと言われた。
「そういえば、学科決めたのか?」
「何のことですか?」
何の話か全くわからなくて、その場で立ち止まって琥太郎さんの質問に質問で返してしまう。
クエスチョンマークを浮かべる私に、琥太郎さんは呆れたような顔を浮かべる。すいません、と謝れば困ったような顔をされた。
「べつに珠が忘れていることで誰も責めたりしないんだから謝るな」
「はい、」
「だからそんな顔をするな」
琥太郎さんはそう言ってくれたけど、申し訳ないのは変わりなくてなかなか顔が普通に戻らない。
暫く頑張ってみたけどどうにも変わらなくて、頭上からため息が聞こえてきた気がして体を強張らせてしまう。
すると、唐突に琥太郎さんに腕を引っ張られ、座らされてしまった。
「何、するんですか…」
「昔、珠がこの場所落ち着く、って言っていたからな」
「っ!ここ琥太郎さん!?」
「まぁとりあえずそのまま聞いとけ」
私は琥太郎さんの膝の上に横抱きで座らされていた。恥ずかしいし止めてほしいけれど、私が昔この場所を気に入っていたらしく離してくれない。
仕方ないので、大人しくそのまま話を聞くことにした。
・・・・・・・・・
琥太郎さんの話を纏めると、星月学園は星の事を学ぶ6つの学科、それぞれ天文科、西洋占星術科、神話科、星座科、宇宙科、星詠み科から成っている。
宇宙科、星詠み科は私には無理そうなのでお薦めしない、とのこと。
天文科には唯一の女子がいるそうだけれど、まぁ珠の好きにしたらいいと思うぞ、なんて言われてしまった。
学科なんて知りもしなかったし決めてもいなかったけれど、琥太郎さんの話から星座科か神話科のカリキュラムに惹かれた。
「…珠、」
「はい?」
「普通の顔に戻ったな」
そう言われてみると、さっきまでの申し訳ない気持ちは消えていた。ありがとうございます、と言えばあぁ、と短く返された。
「珠が記憶を無くしても、俺と姉さんにとっては大事な家族なんだから遠慮するな」
「はい、ありがとうございます」
「それと、俺や姉さんには敬語じゃなくていいぞ」
「えっ、それはちょっと…」
敬語をやめるのは無理だと思う。だって琥太郎さんにも琥春さんにもお世話になっているから。
思ったままを琥太郎さんに伝えれば、お前らしい、なんて言って笑われた。
「じゃあ、昔みたいに呼んでくれ。さん付けは虫酸が走る」
「そんなに嫌ですか」
「あぁ」
昔みたいに呼べと言われてもさっぱり分からないので琥太郎さんに聞けば教えてくれた。
3年前から琥春さんにも琥太郎さんにもお世話になるから、と言って呼び方を変えていたらしい。
ついでに、琥太郎さんの膝の上から降りる。高さがあったせいかふわふわしていた。
「琥太にぃ、ありがとう!」
「どういたしまして」
少し恥ずかしさもあったが振り返って呼べばお礼を言われて、ついでに姉さんも昔の呼び方の方がいいぞ、なんて笑いながら教えてくれた。
君が不安になるのなら
(お。そろそろ時間だな珠いってこい)
(体育館どっちですか?)
(ここを出てまっすぐだ)