世界の廻間。
相変わらず黒い不思議な空間に、ルキと銀狼はいた。
普段は時間になど縛られる事は無いが、先ほどルキが覗いた世界は雪の降る...ホワイト・クリスマスだった。
「ねぇ、銀狼...?」
ルキは隣にいる銀狼に話し掛けた。
何だ?と嫌そうな声色で聞き返してきた銀狼。
「さっき何処かの世界を覗いたら、クリスマスだった...」
だから何なんだと銀狼は態度で示す。少しルキから離れた。
「行かないでッ...!」
ルキは慌てて銀狼の首に抱き付いた。
独りになるのは嫌だ。
「はなせ...クリスマスなんて人間ごときの時間は俺には関係ない」
はなせと言うわりに、ルキを振りほどこうとはしない...銀狼は何だかんだと言ってもルキに優しい。
「クリスマスしようなんて言わないから!ここにいてッ...!お願い!!」
必死に銀狼にしがみつくルキ...銀狼は面倒くさいという感じだが仮の地に狼の身体を丸めた。
「ちっ...俺は何も用意してねえからな」
すると銀狼のまわりに風が集う...彼の能力だ。
「見てみろ、ルキ」
ルキが銀狼の声に顔を上げて周りを見ると、キラキラと銀色の風が雪のように光り輝いて宙を舞っていた。
「きれい...」
銀狼の作り出すその幻想的な世界に思わず声をもらしたルキ。
こんな自分のために惜し気もなく能力を使って、こんな事をしてくれる銀狼に心から感謝しながら彼の作り出す幻想的な世界に見とれていた。
―――――――――――
(銀狼ってやっぱりすごいね)
(ケッ...)
(私じゃあそこまで綺麗に銀風操れないし...)
(知るか)
(銀狼って何気にすごいロマンチストだよネ★)
(うるせぇ)
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