いちばん星の王子様
 
 私が沢村栄純という人を知ったのは、ぶらぶらと近所の高校を見学してまわっていた何でもない日のことでした。

正直夢も目標もなく、なんとなく毎日を生きていた私にとって、野球の名門であり、夢に向かって頑張っている人ばかりの青道は、とてもきらきらして見えたのです。練習風景を数分、数十分と見ているうちに、突如現れたもっときらきらした人。

その一際輝く一番星こそが、栄純くんだったのです。


「先輩にも物怖じせず意見を言う栄純くんほんとにかっこよかったんだから!!」
「なまえってさ、その話一日一回しないと死ぬ病気なの?」
「そう!!またの名を恋!!!」


 名前も知らないその人にいつか会えると信じて、私は迷わず青道高校に進学を決め、見事入学を果たしました。
入学式の日、彼を見つけた時に私は飛び上がって喜んだものです。

私がお姫様だとしたらこの人が王子様だ!あなたのガラスの靴、私が履けますよ!!とばかりに話しかけたのですが、まあ、現在はこんな感じであります。

「栄純くんの話したら栄純くんに会いたくなった!行ってくる!」
「はいはい、行ってらっしゃい」

友達が隣の席の男の子にうるさくしてごめんねと謝っていた。そんなにうるさくしたつもりはなかったのに!なんて思ったのも少しの間だけで、私はばたばたと廊下を走り抜けたのだった。
 
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