てがとどきますように
 
 栄純くんはよく眠る。練習の様子を見てはいるけれど、私は暗くなる前には帰ってしまうから、栄純くんがいつまで練習しているのかは分からない。きっと、私が想像している何倍も、何十倍も努力しているんだろうなあ。

おそるおそる手を伸ばせば、私の手は簡単に栄純くんの頭に触れてしまった。男の子の髪って感じで、どきどきする。

「‥‥栄純くーん」
「んんん‥お、れが‥‥エースに‥」

寝ても覚めても野球のことでいっぱいな栄純くんに自然と頬が緩む。いつか栄純くんの手が、夢に届くといいな。甲子園のマウンドで、不敵に微笑む栄純くんを思い浮かべながら、私も机に突っ伏した。あっ待ってください先生痛いごめんなさいちゃんと自分の教室帰るからたたかないで!
 
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