のんびりしてちゃいられない
 

「悪いけど俺、‥‥と付き合うことになったから」
「そ、そんな‥!栄純くん‥!!」

必死の呼びかけも虚しく、栄純くんは隣にいる、まるでどこかの作品にいる殺人事件の犯人のような、黒塗りで目しかわからない謎の女生徒らしい人物と、仲良く歩き去っていくのだった‥‥


「‥‥という夢を見たから朝からブルーなの!慰めて!」
「はいはい」
「うわーん!意地悪ー!けちー!」
「そうはいうけど、本当に慰めて欲しい相手は私じゃないでしょ?」

友人がそう言うなら、指先で隣のクラスを指差す。そう言えば、朝練をこっそり双眼鏡で覗いていただけで栄純くんには直接会ってない。さみしい‥それに、今日の日課がおわってない!

「ハグもしてないしね‥」
「本人的には幸せだろうけどね‥‥」

夢のこともあってモヤモヤが晴れたわけではなかったけれど、栄純くんに会いたい気持ちの方が正直大きかった。
‥そうだ。それに、栄純くんがこの間にもさ、ほんとに知らない女の人にとられてしまったりしたら‥‥!

「栄純くんに会いに行ってくる!」
「はいどうぞ」

誰と付き合うかなんて栄純くんの自由だけど、自由だけど‥!でもやっぱり私の方が栄純くんのこと好きだもん!そんなぽっと出の人にあげられないよ‥!!

「えーーじゅんくん!!!」
「!! 苗字!」
「おはようございます!!今日もかっこいいね!!!」

栄純くんは一瞬なんだかホッとしたような顔をしていたけど、私がいつものように抱きつこうとした途端いつもの顔に戻っていた。またそうやって照れちゃって!
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