となりにいる人
「‥‥‥の件だな、わかった」
「はい、よろしくお願いします!それでは!」
「‥‥なまえってクリス先輩と仲良いよね。クリス先輩結構気難しそうなのに」
「え〜‥でも、クリス先輩って優しいよ?」
「そうなの?」
「そうだよ!」
野球部へ向かう道すがら、途中まで一緒になった友達とそんな他愛ない会話を交わす。そう、クリス先輩は優しい人だ。だからと言って、私がクリス先輩を気難しいかどうかを答えられるほど、私とクリス先輩の仲は進展していなかった。
「私だってクリス先輩に巻き物貰ったりしたい!!!!!」
「な、なんですかいきなり!!」
気軽に愚痴を言える手頃な存在(ごめんね‥)の沢村くんが近くにいたので、ついうっかり本音を漏らすと、沢村くんはこれでもかと言うくらいびっくりした顔をして肩を震わせた。
「いや‥沢村くんとクリス先輩が仲良さそうでつい‥‥」
「な、仲良さそう‥?」
沢村くんはきょとんとした顔をして、必死に言葉の意味を飲み込もうとしている。が、どうもうまく咀嚼できないようで、何か反論を述べようとしたところに、私を呼ぶ声がした。
「苗字」
「クリス先輩!どうしたんですか?」
「今度の試合のことで頼みがあってな‥少しいいか」
「もちろんです」
沢村くんが何か言いたげにしてたけど、私はそのままその場を後にした。
「あ!沢村くん!さっきは話の途中でごめんね!」
「いやいや!師匠の用事とあらば!!」
「師匠‥ああクリス先輩‥う、うらやましい」
「あ!!そのことなんですけど」
「?」
沢村くんはなんだか自分のことのように嬉しそうににっこり笑って、クリス先輩について話し始めた。
「苗字先輩に何かと用事つけて話しかけてるし何かあったら苗字先輩に相談してるし、」
「使い走らせやすいからでは‥?」
「よく苗字先輩の話してるし、」
「えっ」
「さっきもそうでしたけど、苗字先輩といる時が一番楽しそうですよ!!」
そこまで沢村くんが言いのけたと同時に、私は突然襲いくる幸せに、思わずうずくまってしまった。沢村くんがどうしたんですかと無駄に大袈裟に叫んだりするから、クリス先輩が心配して見に来てくれちゃったじゃない‥(ありがとう沢村くん‥)