隣の席の恋人


 あくびをしながら教室に入ってくる苗字に、うっすらと笑みを浮かべる。どうせまた、遅くまで起きてテレビでも見てたんだろう、なんて予想してみながら、椅子を身体ごと引きずり寄せて、苗字の席に乗り出した。

「はよ、夜更かしか?」
「おはよ‥昨日帰ってご飯も食べずにソッコー寝たせいで夜寝れなくてさ‥‥」
「マジで?アホなの?」
「うるせー!」

腹が減ってはなんとやらと呟きながら早速色気もなくスルメを食む苗字に、ため息をつく。

「今キスしたらスルメ味になんじゃん」
「しないからいいんだよ」
「‥‥俺がしたらどーすんの?」

スルメを食べ終えた一瞬の隙に、眠そうな苗字の頬に手を添え、引き寄せる。‥‥うん、磯臭い。

「‥アホ、バカ、みゆきちゃんのくせに」
「バーカ。一也、だろ」

な、なまえ。ニヤニヤとそう言ってみれば、意外にも苗字は顔を赤らめて、そっぽを向いた。‥‥可愛い。無性にそう思って、俺はもう一度苗字に手を伸ばしたーーー‥‥






「‥‥っていう夢見てさ」
「えっ何それ、きも‥」
「ははは、辛辣!」


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