ワイルドプラス
大変なことになった。未だにどうしてそうなったかも、今俺達がこうして花壇の影に隠れているかもわからない。
詳細省くがつまり簡潔に言えば、雷市と彼女が、デートをすることになった。
「轟くん!待った?」
「あっ!待っ、さ、さっき‥来たところ、です!」
「ほんとに?待たせてごめんね」
雷市の想い人である苗字なまえは、涼しげなワンピース一枚に麦わら帽子のいかにもお嬢様と言った出で立ちで、かたや雷市はTシャツに短パン‥‥その時点で、秋葉と三島は頭を抱えていた。
「なんでこんなことになったんだ?」
「俺が聞きてえわ」
そんな2人の気持ちを知る由もない雷市となまえは、そのまま並んで歩き始める。
どうやらなまえの用事に付き合う形で、雷市が付いて行っているようだ。
「じゃあ、とりあえず先に話してたところに行こっか」
「はい!」
どうやら行く場所があるのを理解した秋葉と三島は、ここから先はあまり近づいてはバレるだろう、と少し距離をとって様子を伺うことにした。
まず向かった花屋では、店員さんが困った顔をするのにも御構い無しにこれは食べたことあるだのないだので必死に話を盛り上げようとする雷市にいたたまれなくなり、気付けば2人は雷市達から目をそらしていた。
続くアクセサリーショップでは、予想通りというかなんというか、煌びやかな店内にぽつんとたたずむ雷市が無性に秋葉と三島の切なさを煽った。
なまえもさすがに申し訳無く思ったのか、足早に店内から出て別の場所へと誘っているのを見た2人は、
「やっぱり雷市には早すぎたんじゃねえか‥」
「このままじゃ2人(の未来)が危ない‥!」
そんな風に2人が頭を抱えていた時、
「何してんだよこんなとこで」
「真田先輩!」
視線の先を追った真田はすぐに「なるほどな」という顔をして、
「あの様子ならそんなに心配しなくてもいいんじゃねえの?」
3人の視線の先には、楽しそうに笑い合っている雷市となまえの姿。
「野次馬根性ってんなら付き合うけどな」
「‥‥帰るか」
「そうだな」
かくして解散したはずな雷市の恋路を見守ろうの会(仮)だったが、翌日手を繋いで登校する2人とそれを囃し立てる生徒達を見て、2人の明日を守ろうの会へと名を変えるだけとなるのだった。