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「プロシュート…今日もいい…?」「……それは構わねーが…」
ノック音を聴き扉を開けると、そこには枕を持ったなまえが立っている。目の下のクマは昨日部屋を訪れた時より濃く、心なしかいつもの睡眠不足時よりも表情も曇って見えた。
「なまえよォ…おめーオレと添い寝したところで眠れてねーだろ?」
「……でも頼めるのプロシュートしかいないし…リゾットはもっと忙しそうだし……」
「本当に困ったバンビーナだぜ」
顎を動かし部屋に招き入れると、なまえは大人しくベッドに座り込んだ。あれ以来添い寝を頼んでくるようになったが、やはり長時間寝ることが出来ないらしい。一人でいると寝ることすら出来ないというので、プロシュートはとりあえず一緒にいることくらいはしてやっていた。
「ごめんねプロシュート…」
「いや、むしろオレが言い出したせいだろ。全部オレのせいにしておけ」
「うん……プロシュートのばか……」
「だからって面と向かって悪口を言う奴があるかッ」
「へへ……」
子供みたいに笑うなまえの頬を、ゆっくりと撫でてやる。アジア人は若く見えるというだけでなく、スタンド能力も関係してか彼女は精神まで幼いように見えた。
眠かったのだろうか、二、三撫でるとまぶたは閉じられ、穏やかな寝息が聴こえてきた。
「このまま寝てられるならいいんだがな…」
何度か試したものの、プロシュートが何をしようがしまいがなまえはすぐに起きてしまう。背にもたれかかるなまえを横たわらせて、静かに部屋を出る。
リビングに入ると、睨むような目つきのメローネが立っていた。
「あんたの部屋にいるのか、なまえは」
明らかに機嫌が悪いメローネを見て、心の中でやれやれとため息を吐く。
「だったらどうしたんだ?」
「なまえはオレとじゃあないと眠れないだろう」
しかし勘繰って訊ねてきたメローネに対しプロシュートは、顔色一つ変えず嘘を吐いた。
「快眠だぜ〜?ヨダレ垂らされるのが玉に瑕だがな」
「………」
メローネの瞳は、その言葉が嘘かどうかよりも、なまえを取られた妬みで揺れていた。こんなにも彼女への好意が明白だというのに、一体何がこの歪みを生んでいるのか。問題解決の糸口とはいえ、彼女の弱る様を見たくない思いはプロシュートも同じだった。
「何が問題かくらいてめーで考えろ」