13

 二人が眠りはじめて、数時間後。ようやく安眠できたなまえは、まだまどろみの中にいるような濡れた瞳をゆっくりとメローネに向ける。

「……よく眠れたか?」

彼女の緩んだその表情を見て柔らかな微笑みを浮かべるメローネ。穏やかな時間の流れを感じ、あたたかい気持ちになっていたメローネの前で、はらりと滴がこぼれた。

「ごめんなさい……」

ぽろぽろと、とめどなく溢れ出した涙がシーツを濡らす。その染みが広がるのを見ながら、メローネは顔には出さないまま動揺した。ーー彼女は今夜こそ、オレに手を伸ばしたのではなかったのか、と。

「わたし、ちゃんと一人で眠れるようにしなきゃって、メローネに迷惑かけないようにしようって、思ってたのに……」

ギアッチョに抱えられ帰宅したあの時、なまえはメローネに手を伸ばしたのではなく、制止しようとしていたのだ。そんなことを知る由もないメローネは、ぽろぽろと涙をこぼす彼女を見て狼狽えることしかできない。

「オレが、なまえを嫌いだと思ってるのか」
「…………」

泣きながらただ謝り続けるなまえに、胸の奥が痛くなった。あの日された質問は、まだ後を引いているのか。メローネはプロシュートに苛立ちを覚えながら、必死に弁解の言葉を探す。

「嫌いだったら一緒に寝たりしないだろ」
「でも、メローネ、自分からわたしに触ったことない…」

その反論の言葉は、メローネが黙り込んでしまうには十分だった。
泣き疲れてまた寝てしまったなまえの頭にゆっくりと手を伸ばすが、すんでのところで手を引っ込めてしまう。

「……なまえ…………」

なぜ触れることができないのか。なぜ触れてはいけないと思うのか。なまえの顔がだんだん幼く見えてくる。彼女に拒まれた記憶を思い出すかのように、メローネもまた、夢の中に誘われた。


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