18
ーー親を失った子供を、誰が守ってくれるのだろうか。
彼女の祖母の墓の前で、メローネは一人そう嘆いた。
メローネは当初、事の顛末を警察に説明し、自分は自首、彼女はしかるべき手順を踏んだのち、孤児院等に引き取って貰おうと思っていた。それが彼女にとって一番正しいことだと思っていたのだ。
しかし、メローネの優先順位は正しさや自分の意思ではなかった。メローネにとって第一であるのは『なまえの願い』だったのだ。
彼女がずっと自分のそばにいると言うのなら、自分が彼女を守ると。自らの手で守らなくてはいけないと、自身に誓った。
そう決意したメローネは、彼女の祖母の葬儀を済ませると、すぐに自分の父親について調べた。
メローネの父親は、政治家だった。だからこそその父が死んだことで、得をする人間が居るはずだと睨んだメローネは、父という一人の政治家を狙っていた人間、『組織』の下っ端と繋がりを持つことに成功する。
そうしてメローネは、裏の世界に足を踏み入れることになった。
「メローネ……まだ寝ないの?」
「ああ、別段眠くもないしな」
メローネが組織に入ってから数年。メローネはなまえを守りながら一人身を削り続け、とうとう(メローネのサポート付ではあったが)入団試験を終えたなまえと共に同じチームに入ることになった。
「わたし、明日からちゃんとやってけるかな……」
「……不安なのか?」
しかしそのわずか数年で、メローネは神経を張り詰めており、"寝るのを忘れる"ではなく、"必要がなければ寝ない"人間になってしまった。
「ほんとはずっと、怖かった……毎日毎日メローネが帰って来なかったらどうしよう、って、メローネが居ない日は眠れなくて」
「……なまえ」
「…でも、これからはメローネだけじゃあなくて、わたしもチームの一員だもんね…」
彼女が怖いのは、また一人になることへの不安なのだと考えたメローネは、暗がりでずっと手を止めず見ていたパソコンから離れ、なまえのそばに座り込んだ。
「オレがいる。オレがなまえを守るから、だから安心して眠ってくれ」
「うん……」
なまえがメローネに手を伸ばすと、メローネはそれに応えるように手を握りしめる。
「メローネ」
「ん?」
「一人じゃあ怖くて眠れないから、一緒に寝てくれる…?」
なまえが怖かったのは、一人になることへの不安ではなく、メローネが壊れてしまうのではないかと言う心配だった。なまえがそう持ちかけたのは、そんなメローネを見かねて『メローネを守りたい』と思ったからなのだが、そんな胸中など知る由もないメローネは、彼女と共にベッドに入り、共に眠るのだった。