──恐れ穴のかべを潜ったら、そこに鬼さまがいるかもしれない。 まだ会えたことはないけれど、暗い穴の中でいつも期待して目を開ける。 いつかきっと会えると信じて、会えたらきっと何かが変わると信じて、そこを何度繰り返し潜ったかはわからない。 彼女とそこを潜ったのが、果たして何度目だったかも──…… 「──あれ、画面固まった?」 その日、後ろから聞こえるはずの声が、真っ暗な穴の奥から聞こえた。
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