「沢村くんのことが好きです!」
苗字なまえ、15歳。
勝ち目のない勝負に挑むのは考えなしのおバカさんがすることだと理解していたはずなのに、玉砕覚悟で思わず告白してしまいました。
想いを告げた瞬間それはひどい勢いで後悔の念が押し寄せてきて、先程まで楽しげに会話していた頃の自分に戻りたくてたまらないけれど、無情にも時間はゆっくりと進んでゆくのです。
「‥‥それって、『好きです、付き合ってください!』‥ってやつだよな?か、勘違いだったらすまん!」
「‥‥勘違いじゃ、ない、です‥」
「お、おお‥‥そうか‥‥‥」
沢村くんは顔を真っ赤にさせて視線をあちこちに彷徨わせている。
‥‥可愛い。それどころじゃないほど、私の顔も真っ赤だけれど。それどころになるほど、照れた沢村くんの顔は愛らしくて、その顔が見れただけでも、告白した価値があった気すらしてくる。
「いや、少女漫画でよく読んではいたがいざ自分がその立場に立つとは思ってなくてだな‥!」
「ご、ごめんなさい‥‥」
「あ、迷惑なわけじゃねえぞ!苗字の気持ちは嬉しい!!けど‥‥」
頭を掻きながら必死に言葉を探している沢村くんに、報われない結果への哀しみよりも、困らせてしまった罪悪感でいっぱいになる。けれど沢村くんの言葉を最後まで聴きたくて、沢村くんの頑張りを最後まで見届けたくて、私は言葉の続きを待った。
「けど、誰かをそういう目で見たことなかったから‥‥ちょっと考えさせてくれねーか?」
「‥‥考える?」
「そうだ!このまま苗字と友達じゃなくなっちまうのは俺も寂しいからな!」
「さっ 沢村くん‥‥!!」
寂しい、と確かに沢村くんが言ったその瞬間、思わず私はぶわっと泣いてしまった。
慌てた様子の沢村くんが私の前で手をわたわたさせていたのが申し訳なく思いつつもとても可愛くて、少し笑ってしまった。
沢村くんの手、マメだらけだ。そういえば野球部だって言ってたような。もしかして私、沢村くんのこと全然知らない?
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