遅刻時間ギリギリに校門をくぐる。昨日、夕日に向かって体力がなくなるまで走り続けたせいか、物凄い勢いで寝てしまって、案の定寝坊したのだ。
教室に入るなり、沢村くんに名前を呼ばれる。どうしたのかなと早足で駆け寄ると、沢村くんは少し嬉しそうにおはようと笑った。

「おはよう。どうしたの?」
「昨日練習見に来てたろ!」

見に来てたこと、気付いてたんだ。邪魔しないようにと早めに立ち去ったのに、バレバレだったなんて。恥ずかしい。恥ずかしいと同時に、情けない気持ちになった。

「それにお前走りながら叫んでたろ!ぬおおおおおって!」
「!! ご、ごめん、それは無意識だった‥!ごめんねうるさくして‥!」

まさか沢村くんの言葉まで真似して走ってたとは思わず、顔が真っ赤になる。無意識って怖い。気が散ったよね、と三度謝ると、沢村くんは何でもないような顔をして告げる。

「なんでだ?お前が見てる方がやる気出んだろ!」
「‥‥そ、それってどういう、」

意味、と聞こうとしたと同時に、先生が入ってくる。そう言えばもうチャイム鳴ってたんだっけ。

「暇ならまた今度見に来いよ!な!」
「‥!うん!差し入れ持って見に行くね!」

にこにこと嬉しそうな沢村くんにつられて、私まで幸せな気分になってしまった。うっかり差し入れ持ってくなんて言ってしまったけど、楽しみって言ってくれたから、頑張ろう、うん。けどそんなに、私のぬおおが面白かったのかな‥‥
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