「なあ春っち‥俺はどうすればいいんだ‥?」
「どうするも何も、栄純君が思った通りにすればいいんじゃない?」

 毎時間のように訪ねては泣きついてくる友人に、春市は半ば面倒臭い気持ちに駆られながらそう答えた。

 なんでも、クラスメイトに告白されたらしい。
喜ばしいことじゃないか、と言ってやれば「そういう目で見たことがない」と言うし、迷惑なら断ればいいじゃないかと言えば「迷惑なわけじゃない」と言い張る悩める目の前の男に、春市はほとほと困り果てていた。
 ただでさえ自分はそういった類のものに長けているわけではないのだ。兄ならまだしも、毎度毎度そう頼られても助言にだって程がある。
かといって、本当に兄に頼りに行ったら行ったで春市はまた困り果てただろうけれど。

「俺だって自分で何とかしたい気持ちはある!‥‥あるにはあるが、その‥何というか‥変に意識してしまうというか‥‥」
「‥‥‥栄純君、その子のこと意識してるの?」
「そりゃあ、まあ‥‥」
「他の女の子のことは?」
「いや、全然」
「‥‥‥それってさ、栄純君もその子のこと好きなんじゃないの?」

 一瞬言おうか悩んだものの、春市は興味本位でついそう口にする。言葉を発して数秒経ってから、今の今まで口を尖らせていた迷える少年はみるみる顔を赤くさせ、あり得ないものでも見るような表情で自分を見つめていた。ぱくぱくと口を動かし声にならない声を上げている。何言ってるの、なんて問いただす前に、彼は突然ハッとしたように机を叩いて立ち上がったかと思うと、大きな声で帰ると叫んで教室から出て行ってしまった。

 よかった、これで静かな休憩時間が過ごせる。春市は満足したように一息ついた。
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