雪が降った。いつしか世界が白銀に覆われて、どこから来たかもわからなくなった。共にいたはずの審神者や部隊の連中ともはぐれ、俺は一人、何もない世界を歩いていた。

どこまでいけばいいのかも分からず歩き続けた先で、今にも枯れそうな樹を見つけ、そこに寄りかかる。悲鳴にも似た樹のひしめく音を聞きながら、その場に座り込んだ。

寒さがより一層孤独感を煽り、俺は視界を覆った。布で世界を遮った小さな空間でゆっくりと息を吐く。揺らめいた白は、あっという間に溶けてなくなった。

あれからどれだけ経ったのだろう。

指がかじかんで、少しずつ感覚がなくなっていった。まるで、自分など最初から存在していなかったかのように感じる。世界は俺を受け入れてはいない。俺の存在など、誰も認めてくれてはいない。

布の隙間から小さな光が差し込んで、そっと目を瞑る。もう何も見たくはない。何もかも、消えてなくなってしまえばいいのに。何もない世界でぽつんと一人、佇む自分の姿を思い浮かべる。今と何も、変わりはしなかった。

「………ああ、俺は……」

どこまでも、ひとりきりだ。









気付いた時には眠ってしまっていた。

下手をすれば、そのまま凍え死んでしまったかもしれないというのに。そんな最悪な事態には陥らず、吹雪は止み、積もっていた雪はじわじわと解け始めていた。解けた雪が水になって、俺を包み込んでいた布を濡らしていた。

濡れた体を温めるかのように差し込んだ暖かな光に目を細める。ゆっくりと目を開けると、そこには泣き出しそうで、でも何処か嬉しそうで、安心したような表情をした、審神者と仲間たちがいた。

「……生きててくれて、ありがとう」
「…! ……ああ」

光が眩しくて、審神者の顔ははっきりと見えなかったけれど、その光に当てられて、俺もーーー…

「…………あんたも、俺を探しにきてくれて……ありがとう」

俺も少し、笑っていたかもしれない。


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