「…? こ、ここから声、聞こえる?あー、あー」
「………雷市くん?」
「!!! あっ…あ…なまえさん………!」
珍しい人物からの電話に、わたしは自然と笑顔になる。雷市くんと電話するのはもしかしなくても初めてかもしれない。雷市くんも緊張しているのか、受話器越しにごにょごにょ言っているのが聞こえる。
「こんばんは、雷市くん」
「こ、こんばんは……!」
「雷市くん家、電話なかったよね?公衆電話かな?」
「うん、ナ……部活の先輩が10円、くれた、から…!」
「優しいね、その先輩。わたし雷市くんと電話できて嬉しい」
「う、うれ……!カ、カハハ…!」
「それで、わたしに何か用かな?」
途端に再び黙り込む雷市くんに、どうしたのと尋ねる。雷市くんはあーとかうーとか唸っている。お腹でも空いたのかな?
「……あ、あの」
「うん」
「お、俺、なまえさんの声聴きたかっ」
その言葉の余韻に浸る暇もなくブツッと切れた電話に、わたしは彼の先輩が10円しかくれなかったことを恨んだのだった。
………今度、雷市くんにテレフォンカードあげよう。ALICE+