「それでね、今度そこの水族館にね、降谷くんの好きなしろくまのーー‥」
「‥‥ねえ」
「ん?」
「ねえ、なまえ」
服の袖をくい、と引っ張られる。そのままじっと見つめてきたかと思うと、降谷くんは再び黙り込んだ。
「どうしたの?」
「‥‥‥」
「降谷くん?」
「‥違う」
「え?」
降谷くんはふるふると首を振る。今のところまともに話した言葉は私の名前と違う、という否定の言葉だけ。
顔は心なしかむすっとしているような気がするし、どうにか察してあげたいところだけど、今回ばかりは難問すぎる。私に降谷くん検定の資格があれば‥!
「ごめんね、降谷くん。分からないから、もう少しだけ分かりやすく言ってもらっていいかな」
「‥‥‥‥名前」
「名前?」
そう言うと降谷くんは少し顔を赤らめて、袖口から辿って私の手を握った。
「降谷君じゃなくて、名前で呼んでほしい」
「‥‥え?」
「駄目?」
駄目じゃない、駄目じゃないけど、それでほっぺ膨らませてたの?そう思うと途端に目の前の彼が愛らしくて仕方なくなった。
くすくすと笑っていると何笑ってるのと不服そうに告げてきたので、謝りついでに暁くんと口を動かした。ALICE+