「みゆちゃん」
「ん〜?」

幼馴染みのなまえは俺の苗字がたいそうお気に入りらしく、小さい頃から俺を「みゆちゃん」と呼んでは嬉しそうにしていた。

「この前の試合、お母さんがみゆちゃんの事褒めてたよ!かっこよくなったわね〜って」

小学校高学年の頃からはそのあだ名が少々気恥ずかしくて距離を置いていたものの、高校に入ってからはまたこうして家族ぐるみで仲良くしている。

「なまえは?」
「私?」
「なまえは褒めてくんねーの?」

からかうようにそう言うものの、なまえはあっけらかんとかっこよかったよと言ってのけた。敵わねえなあ、こういうとこはさ。

「でもみゆちゃんは私にとってはずっとみゆちゃんだから、かっこいいって褒めるのも変な感じだなー」
「‥と言いますと?」
「みゆちゃん、昔はちっちゃくて可愛かったのに」

敵わないというか、俺の初恋が叶わない気がしてきた。

「なまえ。俺ももういい歳した大人の男だからさ」
「‥え」
「ちゃんと名前で呼んでくんね?」

真面目な顔をして言ったのが効いたのか、なまえは照れくさそうに「かずちゃん?」と言ってきた。
間違ってない。間違ってないけど、そうじゃない。
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