結婚しよう、と目の前のいかにも頭の悪そうな男は言った。
私と目の前の男がいるのはなんてことないハンバーガーショップだったのだが、そもそも私達はつい先程まで映画館に居た。その時この男は私の肩に凭れかかって、グースカ寝息をたてていた。もちろん私もそんな奴に腹をたてた。ガタリと大袈裟に音を立てて映画館を出る。すると目覚めたのか寝ていた男は慌てて私を追いかけてきて、昼飯を奢るから許してくれと宣った。私が腹を立てたのは男が寝ていたことではなく、いつまで経っても気を遣って私と普通のデートをしようとして空回りするその態度にだったのだが、腹が減っていたので黙っておいた。
それが映画館を出てすぐにあるハンバーガーショップの手前で起きた出来事。間抜け面の男が放ったそれが私の耳に届いたのは、ちょうど映画館で先程見ていた滑稽な恋愛映画が終わったのと同じ時刻だった。
毎度毎度男の頭にチョップを喰らわせながら喜んでいる私も、なかなかに滑稽かもしれない。
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