ピンポーン…
そうインターフォンが鳴った直後、俺がドアノブに手をかける寸前。
目の前のドアがいきなり開いた。
「えーしー!一緒にツリー飾り付けしよう?」
「…は?」
いきなり俺の視界に飛び込んできた花は大きなクリスマスツリーを抱え、満面の笑みでそう言った。
外が相当寒かったのか、それとも長い間冷気にさらされていたからなのか、赤い鼻が妙に目立つ。
…いや、赤いのは鼻だけではなかった。
鼻に負けないくらい赤い手。
「…あ、えっとこれは…その、」
俺の視線に気付いたのか、ツリーごと後ろに隠す花。
今更隠しても無駄なのにどうにかして誤魔化そうと苦笑いを浮かべる姿に思わず笑みがこぼれる。
「ほら、飾り付けするんでしょ?早く入んなよ」
「うん!」
彼女が持つと、顔から膝辺りまでをすっぽりと隠してしまうクリスマスツリー。
ここまで運んでくるまで、かなりの重労働だったはず。
それなのに、一緒に飾り付けをしたかったからとたった一言で片付けてしまう花がおかしくて、
すごくすごく愛しい。
「…ねぇ、花」
「ん?」
そうだ
せめて一年に一度のこの日ぐらい、
「いつもありがとう」
素直になって伝えよう
日頃の感謝を込めて
これからもよろしくの意を込めて
「愛してる」
特別な日だから特別な言葉を贈るよ
目の前で、
頬を赤く染めて微笑む君に
聖なる夜に
(メリークリスマス、愛しい君へ)